食材を無駄にせず、素材本来の味を生かし、調味料を極力使わない精進料理の影響は京料理の、随所にあらわれます。
豆腐は、元来精進料理の食材として禅宗の寺で食されてきました。鎌倉時代、入宋した禅僧が、醤油、納豆、うどん等とともに、日本に持ち帰ったのが起源である、と考えられていることからも、寺院とのつながりは、極めて深いものです。 精進料理では、獣肉、魚介等のなまぐさものをいっさい使いません。だしは鰹や煮干しなどではなく、椎茸や昆布を使います。現在の京都では、湯豆腐は昆布のみで食すことが多いのですが、精進料理の影響の一端が窺えます。